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耳垢・耳垢栓塞

耳の構造と機能』も参考にして下さい

〈耳垢は病気でしょうか?〉
読んで字の如く、“ミミアカ”です。基本的には病気ではありません。外耳道(耳のあな)の外側の3分の1は軟骨からできており、内側(奥)の3分の2は骨からできています。外耳道軟骨部をおおう皮膚には、耳毛と、耳垢腺という汗腺の一種があります。耳垢はもともとは皮膚上皮です。通常、鼓膜・外耳道の特徴として、この皮膚上皮が外耳道を外に向かってゆっくりと移動する性質がありますので耳からはがれ落ちますが、これら耳毛と耳垢によって異物が入るのを防いでいます。時に詰ってしまうことがあり、『耳垢栓塞』と呼んでいます。
耳垢腺の分泌量によって耳垢がカサカサになったり、粘っこくベトベトだったりします。これは体質による個人差であり、少しにおいのあることもありますが病気とは違います。「耳ダレ」とも違います。
でも、困ることもありますよ。プールやフロなどで耳に水が入って耳垢がふやけて詰ってしまった場合や、中耳炎による耳漏(耳だれ)と間違えてしまうことがあります。また、カゼで小児科などに受診したとき中耳炎の有無を確認してもらおうにも見えないということもあります。

〈症状は?〉
違和感を訴えられることもありますが、無症状であることがほとんどです。完全につまってしまいますと、耳閉感・難聴が出現します。耳そうじや入浴後に突然症状が出た場合は耳垢栓塞が疑われます。

〈治療は?〉
治療の要否はさておき、除去が唯一の方法です。吸引・鑷子・異物鈎・耳用鉗子などを用いて摘出します。カチカチに固まっているものに対しては、耳垢水を数日点耳して軟らかくしてから摘出します。

学校健診で指摘を受けた方にひとこと
前述のごとく、耳垢は病気ではありません。また、耳垢だけで問題になることはほとんどありません。しかし、健診のとき耳垢のために耳内が十分に観察できないと、目的である、耳の病気があるかどうかを判断するということができません。つまり、耳の病気が隠れているかもしれないのでその確認が必要ということです。耳の中がきれいであることにこしたことはありませんが、耳垢をとってきれいにすることが目的ではありません。耳の病気の有無を確認することが目的です。ですから、『家で耳をそうじしたから耳鼻科には行かなくていいはず。』とは思わないで耳鼻科で確認してもらってください。
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〈院長よりのもうひとこと〉
耳そうじはホドホドに。がんばりすぎて耳の穴や鼓膜に傷をつけてしまうかたがおられます。また耳の穴に耳垢が全くなくてつるつるの方がおられますが、だいたいは耳のかゆみ・痛みを訴えることが多いようです。『かゆいから耳をさわってしまうんです』とおっしゃる気持ちはわかりますが、すこし我慢してみてください。
時々『いつも綿棒で届く範囲できれいにしています』とおっしゃる方に、とても多くの耳垢が奥のほうに詰まってしまっていることがあります。おそらく、ひたすら奥に押し込んでおられるのでしょう。
 最近、耳垢除去用の吸引機がありますが、あれで除去できる程度のものであれば少々あっても問題になることはないと思います。


〈気をつけてください〉
耳の中はきれいにこしたことはありませんが、『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』です。耳垢を取りすぎる(耳垢は無いのにかゆくてそうじをしすぎる)と感染を起こしやすくなったり、水性の耳だれが出ることがあります。外耳道が炎症ではれて奥が見えなくなってしまうこともあります。

家庭で耳そうじをするときは次の点に注意して下さい。
1. 子供がいないところでしてください。お子さんの耳そうじをする時には他のお子さんがいないところで行ってください。ぶつかってきて鼓膜を破ったり、外耳道を傷つけることがあります。
2. 耳介を後上方(乳児では後下方)に引っ張ると中が見やすくなります。
3. 綿棒はけっこう難しいものです
4. とれない時は気軽に耳鼻科へ。あまり無理をしないでください。