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メニエール病


耳の構造と機能』も参考にして下さい

〈どんな病気でしょうか?〉

めまい
耳鳴難聴をくり返す内耳の病気です。耳の奥には内耳といって、音(蝸牛)や体の動き(前庭・半規管)を神経・脳に伝える器官があります。そこには水(内リンパ・外リンパ)が貯まっており重要な役割を担っていますが、内リンパ液の溜まりすぎ(内リンパ水腫)がその病態です。中枢疾患をはじめとする他の疾患がないものという条件がつきます。

〈どんな症状でしょうか?〉

めまいに伴い吐き気・嘔吐・冷汗・動悸や便意といった自律神経症状も多く見られます。また、耳が聞こえ難くなったり耳に水が入ったような耳がつまった感じ(耳閉感)や耳鳴がしたりします。自覚症状がなく、検査ではじめて聴力低下がわかることもあります。耳が聞こえにくいのに、子供の叫び声や食器の音などがかえって強く響き、不快に感じることがあります(聴覚過敏)。初期にはめまいがなく、難聴・耳鳴・耳閉感だけのことや、逆にめまいだけが起こることもあります。直接生命に関わることはなく、初期には発作がおさまり、耳鳴・難聴も軽くなりますが、発作をくり返しながら進行することもあります。

〈診断は?〉

問診は「めまいの症状」を確かめ、どんな病気かを想像し、そのためにどんな検査をすればよいか考えるために非常に大切です。何時・どのような状況で・どの程度のめまいがあったか。例えば、
「グルグル回るかフラフラするか。」
「景色が右に流れるか左か。」
「なにをしていた時か。」
などです。また
耳鳴難聴は伴っていたかを聞きます。

〈どんな検査をするのでしょうか?〉

1.聴力検査 特に重要で、必須の検査です。自覚症状がなくとも聴力低下を来たしていることがあります。薬を飲み3時間後に再度行う検査も重要です。
また、定期的なフォローも重要です。
2.平衡機能検査 体のバランスや眼の動きを見ます。
眼の動きは
眼振といって独特の眼の揺れがあります。乗り物に乗って外を見ている人の眼と同じような動きが見られます。負荷(頭を動かす・耳に水を入れる等)をかけたりすることもあります。
3.蝸電図 耳の中に電極を貼って、刺激音に対して内耳から出る電気信号を見ます。
4.画像診断 CTやMRIで中枢疾患を除外する必要もあります。
CTにより内耳の構造を見る方法も報告されています。
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〈治療は?〉

めまいは一時的であったり、自然に治ったりすることもありますが、急性期にはめまい止めの薬や安定剤で早い目にめまいを抑えたほうが楽です。
通常はビタミン剤・抗めまい剤・脳循環改善薬・代謝改善薬・浸透圧利尿剤、場合により安定剤・自律神経調整剤・降圧剤・昇圧剤などを用います。
急性期・増悪期にはステロイド剤が有効です。
脳循環の改善や自律神経の調整・頚部の緊張を緩和するため星状神経節ブロックを行うのも有効です。
薬でも治らない場合は溜まりすぎた内リンパ液の排泄路の確保のため手術(内リンパ嚢解放術)を行うこともあります。

〈注意しましょう〉

疲れ
睡眠不足が続いた時によく起こります。ストレスは症状を増悪させます。また、たばこは脳に行く血管を縮める作用があり、治療薬に逆行する行為です。
めまいがおきてからの治療より、めまいを起こさないように家庭や社会生活を調整することが大事です。十分な睡眠をとること、ストレスを溜めないこと、規則正しい生活をすることを心掛けて下さい。ただし、きちょうめん過ぎで、適当に手を抜けない方に多い傾向があるのも事実です。
難聴は改善しないこともよくあります。「治らないなら放置しておく」というのは良くありません。悪化することが多いので継続的に見て、それ以上悪くならないように維持することも大切です。極端な言い方ですが、メニエール病イコールめまいと考えず、聞こえのほうが怖いと考えても差し支えありません。