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突発性難聴

耳の構造と機能』も参考にして下さい

〈どんな病気でしょう?〉

突然に発症する、原因不明の、高度感音難聴です。難聴はほとんどが一側性で、多くの場合発症した日時・状況を覚えています。騒音や外傷などによって生じた難聴やメニエール病や聴神経腫瘍など検査の結果、原因疾患が特定できた場合は突発性難聴から除外されます。

〈原因は?〉

突発性難聴の診断基準にもなっていますが原因は不明です。循環障害、ウイルス感染などが考えられています。
ウイルスによる血管炎により血管の攣縮・血栓・出血が内耳の循環障害ひいては酸素不足が代謝障害を引き起こすと考えられています。また、過労や寝不足、環境の変化などの後に生じることが多く、ストレスと密接な関係があると言われています。

〈症状は?〉

症状は読んで字の如くですが、急に聞こえが悪くなります。多くは耳鳴り、耳閉感(耳がつまった感じ)を伴います。めまいを伴うこともあります。片側性のことが多く、高度な場合は殆ど聞こえなくなることもあります。

〈診断は?〉
問診:発症時前後の状態を尋ねます。問診で大体の見当がつきます。 
検査:
純音聴力検査: 必須の検査で、難聴の程度・パターンや聴力の経過をみます。
レントゲン検査: 異常は認められない。聴神経腫瘍や中耳炎と鑑別します。
平衡機能検査: めまいの状態をみます。
耳小骨筋反射: 機能性難聴や中耳炎と鑑別します。

〈治療は?〉

治療の基本は安静と休養で、自然治癒することも多いといわれていますので、内服薬や点滴などの薬物治療は治癒を促進させる手助けと考えてください。しかし、治療の開始が早ければ、早いほど聴力の改善が期待できるのも事実です。「発症後1週間以内に治療開始を!」1ヵ月も経ってから治療を始めても聴力は固定しているので聴力の改善は望めません。「仕事を休んで、早く治療を始める」ほど治る可能性も高くなります。「しばらく様子をみて、ダメだったら治療してもらいます。」とおっしゃる方もおられますが、かなり厳しいと思います。
薬物療法にはステロイド剤、循環改善剤、代謝改善剤、ビタミン剤などが使用されます。ステロイドがもっとも確実性があると思います。血流改善の目的で高圧酸素療法や酸素と二酸化炭素の混合ガス吸入が行なわれることがあります。プロスタグランジンE1や血栓融解剤も用いられます。血流改善に関しては星状神経節ブロックが有用です。めまいを伴う場合にはめまいの治療が行なわれます。いずれにしても単独ではなく併用療法が基本です。
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〈どんな経過をたどるでしょうか?〉

聴力は発症後約1ヶ月で固定することがほとんどで、長くても3ヶ月くらいでしょうか。したがって、この期間にできるだけのことをしておくことが大事です。聴力は一度よくなったものが再び悪化することはほとんどありませんので、悪化・変動がある場合は他の疾患を考えます。耳鳴が残る場合もあります。めまいは一時的で継続・反復することはありませんので、これも継続・反復するようであれば他の疾患を疑います。聴力回復しにくいのは、聴力低下が高度な場合、めまいを伴う場合、治療開始が遅れた場合、高齢者などです。

〈こんな難聴もあります〉

症状の出方が突発性難聴と同じですが、聴力障害が低音域に限局するタイプがあります。聴力型はメニエール病に似ていますがめまいは伴いません。低音障害型突発難聴・急性低音障害型感音難聴・低音型突発難聴などの名称で呼ばれています。女性に多い傾向があります。突発性難聴に準じて治療します。以前は積極的にステロイドを投与していましたが、自然治癒傾向がありますので、最近では、発症後1週間は循環改善剤、代謝改善剤、ビタミン剤のみで経過観察し、軽快傾向がなければステロイドを考慮しています。かなり治りやすい疾患ですが反復するものも多く、メニエール病に移行するものもあります。ただし初診時にどのタイプであるかは判断できません。
 また、ステロイドを投与すると劇的に改善して、投与中止により悪化するというパターンを繰り返すステロイド依存性感音難聴もあり、治療に難渋する疾患もあります。