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声帯結節

発声について』も参考にして下さい

〈どんな病気でしょうか?〉
両側の声帯膜様部の中央あたりに結節というものができます。結節というとわかりにくいので患者さんには『ポリープのようなもの』と説明されることも多いかと思います。でも一応ちがうものであると認識しておいてください。手のひらにできるマメのようなものが声帯にできるとイメージしていただけたらいいかと思います

矢印が声帯結節で、両側性です。

〈症状は?〉
嗄声(声がかれる)が主症状です。すこし空気がもれる感じで、やや硬い感じの声になります。日によって声の調子が変わりやすく、『長く喋るとでにくくなる。』と訴えられることが多いようです。たまに、ノドの痛みを訴えられこともあります。

〈結節があるとなぜ声が出にくいか?〉
声帯膜様部の中央あたりはもっとも大きく振動する部分です。(『発声について』を参照)そこが硬くなっていると下方からやってきた粘膜波動が潰れてしまいます。また結節が大きくなるとポリープと同様、声門閉鎖がうまくいかないことも大きく関与します。

〈結節はどうしてできるのでしょう?〉
手のひらのマメ、指のペンダコと同じように考えていただければよいかと思います。慢性的な機械的刺激により粘膜上皮が硬くなり、粘膜下に液の貯留や線維化が起こり腫れてきます。
ただ、声帯ポリープ同様炎症が契機となることも多いようです。炎症をおこし声が出にくくなっているにも関わらず、声を出さざるを得ない。声を出しにくいからよけいに声を張り上げようとして声帯に負担をかける。この悪循環が声帯の酷使を生みます。

ここで、注意!
声帯に隆起(結節)がなく一見正常のようでも、発声すると声帯膜様部のほぼ中央に泡が溜まってくることがあり、こ
れをフォーミング呼んでいます。同部位が振動しにくい状態、つまり硬くなっていることが予想できます。結節予備軍と思ってください。

〈どんなヒトに多いでしょう?〉
幼稚園・小学校の先生、保母さん、歌手(得にアマチュア)など長時間声を使う方で声の出し方の悪い方に多く見られます。ほとんどが女性です。

忘れてはならないのが小児です。男の子に多く、原因は無理な大声です。スポーツでの気合いを入れた無理な声を出すことも一因と言えます。とくに小児結節と呼んでいます。
学校健診でも声の嗄れている小児をよく見かけます。治療の項でも述べる理由により、あまり指摘はしておりません。(確定診断にファイバースコープを要することが多いため。)ただ、生まれつきのものは
先天異常が考えられますし、増悪傾向や息苦しさがある場合は喉頭乳頭腫を考慮しなければなりませんので、一度耳鼻科で診断をつけてもらうのもいいでしょう。

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4歳男児の小児結節です。

〈治療は?〉
基本的にはポリープの治療と同じです。
発声方法を改善しようにも結節があることで適切な使い方ができない場合は、リセットをかけるために手術を選択するのがいいのではないでしょうか。
声帯ポリープの繰り返しになりますが、同じ条件が揃えばやはり再発します。

小児結節は声変わりの時期を過ぎると自然に治ってしまうことが多いので、基本的には経過観察です。たしかに『声の出し方が悪い』のですが、『喋るな!声を張り上げるな!』といっても無理ですし、押さえ付けるような指導は精神発達上よくないと思います。長い目で見てください。手術は社会生活に障害が出る場合に考慮します。例えば、声がでないので学業に支障がでる、声が変なのでイジメの対象になり登校拒否に発展する場合などなど。ただ、大きな声を出す子は活発な子が多いようで、このような心配はあまりないみたいですよ。

〈院長からのひとこと〉
こんな患者さんがおられます。
初診時は声帯に膨らみはなく炎症だけでしたが、
フォーミングという泡が溜まる現象がありましたので『声帯結節に移行するかもしれないよ』と注意を促しておりましたが、そのまま同じ調子で声を使われていたようで、数ヶ月後に来院された時にはきっちり結節ができておりました。小学校の先生でとくに、低学年を担任されておりました。夏休みなどの長期休暇があると軽快しますが、新学年・運動会シーズンは悲惨な状態になります。

声の訴えのなかには明らかな嗄声がなくとも『声のノビがない』と訴えられることもあります。悪い言い方になりますが医者泣かせです。当然結節はなく視診上粘膜はきれいでしたが、発声時にフォーミングがありました。強く手術を希望されましたのでラリンゴマイクロサージャリーにて当該部位と思われる範囲の粘膜上皮を薄く鉗除いたしました。聴覚的には変化はないと思ったのですが、『声が出しやすく、のびるようになった。』とおっしゃっていましたし、研究段階の検査ですが術前とくらべてデータ上明らかな違いが出ておりました。

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